一年の半分を暖房に頼らざるを得ない地域において暖房選びは重要です。せっかくマイホームを建てるのですから、暖かい家で快適な生活を送りたいものです。今回は冬の暖房の種類について詳しく解説します。
■暖房の種類
◆セントラルヒーティング
一箇所に給湯器熱源装置を設置して、熱を暖房が必要な各部へ送り届ける暖房方式。「全館集中暖房」「中央暖房」ともいう。ボイラー熱で湯を沸かし循環ポンプにより各部屋へ循環させ家全体を暖める。北海道ではセントラルヒーティングが一般的な暖房システムとして扱われている。新築住宅の70%~80%がセントラルヒーティングを導入している。
【メリット】
輻射熱で建物を暖められ、どの部屋でも同じ暖かさを保てる。風が発生しない為、快適に暮らすことができる。火を使わないので、やけどや火事などのリスクがなく安全性が高い。窓の近くにパネルを設置することでコールドドラフトを抑えることができる。
※コールドドラフトとは、冷たい窓辺から発生する下降冷気のことで、室内に温度差が生じるため、空間の快適性を損なうばかりか、脳溢血や冷え性が悪化するなど身体的にも悪影響を及ぼすと言われています。
【デメリット】
エアコンなどと比べて、初期費用が高くなる。部屋が暖まるまで時間がかかる。新築工事やリフォーム工事でも大掛かりになり、費用や工事日数がかかる可能性が高くなる。一度稼働させたら、シーズンオフになるまで24時間稼働させ続けることになり、その分燃料費などのコストがかさみます。
◆床暖房
輻射式の暖房で、「温水式」と「電気式」がある。温水式床暖房は、室外機として設置する熱源機で作られた温水を、床下直下まで配管を用いて導き、床材を加温することで、部屋全体を温めることができる暖房システムです。温度分布が均一であることが特長で、電気式床暖房に比べてランニングコストが安価なことから、省エネ住宅での評価が高く、温水式床暖房を採用している住宅会社が多い。
【メリット】
足元が温められることで体が暖まり、比較的低い室内温度でも暖かさを感じることができます。床暖房は室内の温度ムラがなく空気をキレイに保ちながら均一に部屋を暖めてくれます。ホコリが舞いにくく、空気の乾燥や、においの発生を抑えます。燃焼式の暖房機と違い、結露やカビの原因となる水蒸気を発生しない。
「温水式」は、ランニングコストが安い。ガスや灯油、ヒートポンプなど熱源機が選べます。「電気式」は、イニシャルコストが安い。キッチンの足元など、部分暖房ができる。
【デメリット】
導入時の初期費用が高く定期的なメンテナンスが必要。部屋が温まるまでに時間がかかる。エアコンなどと比べて光熱費が高くなる。
「温水式」は、イニシャルコストが高い。「電気式」は、ランニングコストが高くなる。
◆寒冷地用冷暖房エアコン
エアコン暖房は、熱交換器で空気に含まれた熱を外気から取り入れ、コンプレッサーで圧縮し、冷媒に熱を乗せ室内機へと運んでお部屋を温めます。この仕組みは一般的にヒートポンプという技術が採用されている。寒冷地用エアコンの圧縮機(コンプレッサー)は一般地用より強力なので素早くお部屋を暖められます。
※冷媒・・・空気中の中にある「熱」を運ぶガスのこと。
【メリット】
冷暖房兼用なので導入時の費用が抑えられる。暖房しない時期でも冷房・除湿・衣類乾燥・空気清浄など様々な使い方ができます。暖房の中でも、電気で暖房する寒冷地用エアコンが一番ランニングコストが低い。換気が不要で結露が少ない。
【デメリット】
空気が乾燥しやすいため、加湿器との併用が必要。住宅の気密性や断熱性が低いと一定の温度を保ちにくいため、電気代が高くなる。
◆全館空調システム
すべての居室、廊下など建物全体を冷暖房し、24時間換気を行うシステムです。屋内の空調室内機からダクトを通して、各部屋の天井の吹き出し口から冷暖気を送るタイプが一般的です。輻射式や対流式、両者を組み合わせたハイブリッドタイプがある。
【メリット】
家全体を一定の温度に調整できる。室内は吹出口のみでスッキリとし、室内機は1代のみ、室外機は1~2台。
【デメリット】
建物は高気密高断熱住宅でなければ効果が得られない。システムの導入費用は高額になる。乾燥しやすく加湿器が必要。
◆薪ストーブ
薪ストーブは、燃料となる薪さえあれば、電気やガスに費用をかけずに暖房をすることができます。遠赤外線の輻射熱で部屋や家全体を暖めるため、体が芯から温まります。また、災害時に停電してしまった時なども、薪ストーブなら電気なしでも使用できるので心強いですね。薪ストーブの炎のゆらぎは、生体が本来持っているのと同じリズムであるため、本能的にリラックスできるそうです。
【メリット】
ストーブの上にやかんなど物を置けるため、お湯を沸かしたり、オーブンとしても使えるので料理も楽しめます。薪ストーブの炎のゆらぎは癒される効果があります。
【デメリット】
部屋が暖まるまで時間がかかる。初期費用が高く、薪の調達や置き場所のスペースが必要になる。ストーブの煙突内にたまるススの清掃などのメンテナンスも必要。
■まとめ
暖房機器は様々な種類がありますが、住宅の性能によってランニングコストは変わってきます。暖かい家は各部屋ごとの温度差が少なく、ヒートショックの防止にも繋がります。吹き抜けやリビング階段を設けても快適に暮らすことができます。住宅性能を高くすることで、冬は暖かく夏は涼しい家になり、光熱費が抑えられます。暖房機器の特長と住宅の性能を考慮した上で、家全体を暖められる暖房を選びましょう。