東日本大震災から7年が過ぎました。
首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などの可能性も示唆される昨今、住宅に求める機能の一つとして「耐震性」の存在が大きくなってきています。いま自分達が住んでいる家の安全性は大丈夫なのだろうか…とお考えになられた方もいらっしゃると思います。
住宅の地震対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
日本は世界でも有数の地震が多い国です。そして、その地震に対する建築技術は世界一と言っても過言ではありません。
高層建築物に用いられていた制震や免震の技術は、今では住宅にも用いられるようになってきています。
●日本は地震のみならず、台風にも見舞われる土地です。
近頃では竜巻なども多発していることも考えると、原因はさておき「揺れ全般」に備えておく必要があります。
現在、住宅の地震対策としては、大きく分けて「耐震」「制震」「免震」の3つの工法があります。
これらはそれぞれ異なる構造で地震の揺れに対応しており、その効果やコストもさまざまです。
みなさんも耐震や制震、免震といった言葉をテレビや広告などで一度は聞いたことはあるのではないでしょうか。
その3種類の仕組み・特徴を簡単に説明したいと思います。
①耐震とは
建物自体を強固なつくりにすることで、建物の倒壊を防ぐものになります。
②制震とは
地震や強風などによる建物の揺れを軽減するもの。
③免震とは
地震の揺れを建物に伝えないようにするもの。
次は、それぞれの特徴についてご説明します。
【耐震】
メリット:台風などの強風でも揺れない。地下室の設置制約がない。
小さな地震(震度1や2程度)では揺れない。制震・免震に比べ費用負担が少ない。
デメリット:地面からの揺れをそのまま受けるため建物の揺れが大きい。地震のたびに、建物の損傷が進む。
制震・免震と比べ家具の転倒が多くなる。
【制震】
メリット:強風(台風)では、ほとんど揺れない。
揺れを抑え、構造体の損傷を軽減できるため、繰り返しの地震にも有効。
家具の転倒は2階から上階が軽減される。
デメリット:耐震と比較するとコスト増加。
間取りの自由度を制限される可能性がある。
※制震装置は構造計算のもと設置場所を決めていきます。
なので、ここに大きな窓が欲しいという要望があった場合も制震装置の配置により適えられない可能性も出てきます。
【免震】
メリット:家具の転倒は、階数を問わず大幅に軽減される。建物が大きく揺れないので、建物の損傷が大幅に軽減される。
デメリット:強風(台風)のときは2階から上階が揺れる。設置コスト大。軟弱地盤などでは免震装置の設置が困難。
住宅を地震の被害から守る耐震性能。その種類は一つではなく、それぞれ特徴や揺れに対するアプローチの方法も変わってきます。
住宅を建てる際には、「耐震」「制震」「免震」のどの性能が適しているかを考える必要があります。
機能面に目を向けるだけではなく、施工費用は予算内に収まるのか、土地や住居の環境に適しているのかなども踏まえて検討しましょう。
大きな地震は決して他人事ではなく、いつ起こるかわかりません。ご自身とご家族の生命と生活を守るためには、適切な地震対策が必要です。住宅を購入する際にはきちんと検討されることをおすすめします。